定期検診の効果
6月4日〜10日は歯と口の衛生習慣です
今回は、定期検診の効果についてお話しします。
皆さんは、1年にどれくらいの頻度で歯医者さんを受診していますか?
子供の頃は、学校歯科検診があったので少なくとも1年に一度は歯医者さんに口の中を見てもらっていたと思いますが、社会に出てからはどうでしょうか?
もう10年以上も歯医者さんに行ってないという方も少なくないのではないでしょうか。
定期検診の目的
お口の健康が身体の健康寿命を左右することについて、やっと近年耳にするようになってきましたが、歯医者さんの定期検診の受診率はまだまだ低いのが現状です。
定期検診の目的は「一生自分の歯で食事をすること」の一言に尽きます。
食べ物を食べることは、栄養補給のために一番最初にする行為です。唾液と混ぜ合わせ、よく噛み砕いて飲み込むことで消化吸収が効果的に行われます。
食べることは、栄養補給のためだけではなく、私たちの心と体にとって多くの良い効果をもたらしています。
きちんと整った歯でよく噛むことは、顎をよく動かすことになります。顎は第3の心臓ともいわれ、頭部への血流を促しますので、認知症予防などの効果があります。噛むことで顔・首・頭の筋肉を使います。筋肉がよく動くと唾液もたくさん出て免疫力が上がります。また、お顔のリフトアップなど噛めば噛むほど若々しい表情をつくることにもつながります。
また、食事を美味しく味わうことや楽しく食事をすることは、豊かな精神状態を保ちより良い人生の一部となります。
一般的に歯の定期検診は3ヶ月〜6ヶ月に一度とは言われていますが、実は8020(80歳で20本の歯が残っている状態をつくること)を考えると、3〜6ヶ月に一度では期間が開きすぎで、
むしろ1ヶ月リコールが理想です。
なぜなら、歯科治療をしただけでは歯が残らないからです。
歯を失う主な原因は歯周病
歯周病とは細菌による感染症で、40歳以上の8割の方が罹患している歯茎の病気です。痛みや自覚症状なく進行し、ジワジワと歯を支える骨が溶け、最終的には歯がまとまって抜け落ちてしまう恐ろしい病気です。
歯周病の主な治療法は歯石とりですが、歯石とりは歯をきれいにし虫歯や歯周病の進行・再発を予防しているだけではないのです。
口の中で猛威を振るっている歯周病菌が、歯茎の出血しているところや隙間から毛細血管に入り込み、あっという間に全身を回って各器官にさまざまな炎症を引き起こし、命に関わる病気に発展していくことがわかってきていますが、最大の予防法は歯石を定期的に除去することです。
良い口腔状態を維持するために
歯科治療が終わった時の状態は、当然よい口腔状態です。
しかし、早い人では1週間後くらいから歯石がつきはじめてきます。歯石になってしまうと、歯磨きだけでは落とせませんので、歯科医院で専用の器具を使って除去してもらうしか方法はありません。
治療後のようなよいお口の中の状態を長期間維持するには、ホームケアとプロフェッショナルケアの併用が必須です。どんなに熱心に歯みがきを頑張っていても、磨き方の癖などで磨き残す場所ができ、いつも同じところに汚れが残っている状況をつくります。
同じところに汚れが残ったままでは、その場所に炎症を引き起こし歯周病が再発してしまうというスパイラルを生んでしまいます。
また、歯周病に対するメインテナンスがない場合、約5年で2本の歯を喪失すると言われています。
さらに、歯が1本なくなると寿命が2年縮まるとも言われるほど、口の中は全身の健康状態を左右する重要な臓器なのです。
そのような事態を防ぐためにも、月1で専用器具による歯の汚れ取りをすることが良いのです。
定期検診って何をするの?
定期検診で行うことは、
- 虫歯になっていないかチェックする
- 歯周病が進行していないかチェックする
- クリーニングと歯石除去・ブラッシング方法をアドバイス
- かぶせ物や詰め物に不具合がないか、粘膜に異常がないか点検
- 入れ歯の清掃と噛み合わせのチェック
などなど。もしも、虫歯などが見つかったとしても早期発・見早期治療をすることができるので経済的にもお得です。
また、特に高齢者の方々が定期的に来院され、元気な姿を拝見するととても安心した気持ちになりますし、待合室で生まれる小さなコミュニティが高齢者本人にとっても地域にとってもプラスになるものと実感しています。
私たちの体を守るための鍵を握っている口の中。
私たちが美容院に行くように、あるいは何気なくカフェに入るような気持ちで歯医者さんを利用してみてはいかがでしょうか。歯と口の衛生週間を契機に、一度検診を受けてみてはいかがでしょうか。